一般内科
一般内科
一般内科では、日常生活の中で比較的遭遇しやすい急性症状や慢性疾患の継続的な治療とコントロールを行っています。また、専門的な高度医療が必要な場合は、専門の医療機関へご紹介し適切な治療を受けていただけるようにする役割も担っています。以下に内科でよく見られる症状を挙げています。複数の症状が出ていて「何科を受診したらよいかわからない」といった場合など、お悩みの際はお気軽にご相談ください。
日常的に起こりやすい症状でも、適切な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。体調不良や健康に関して気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
正式には『かぜ症候群』といって、ウイルス・細菌が上気道(喉・鼻)に感染、増殖して発症する一連の症状であり、咽頭症状(咽頭痛)、鼻症状(鼻水・鼻閉)、全身症状(発熱・頭痛)などが現れます。
原因の80-90%はウイルスが原因であり抗生剤は効果がありません。主なウイルスとしてはライノウイルス・コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどがあります。多くは2,3日で改善するため症状に沿った対症療法のみで対応可能ですが、高齢者や免疫力の低下した患者様、喘息持ちの患者様は肺炎などの重症化をきたす可能性もあるため注意が必要です。扁桃に細菌感染を疑わせる分泌物が付着しているなどの、細菌感染の可能性が高いと考えられれば抗生剤での加療が必要になる場合もあります。長引く発熱、長引く症状がある際は血液検査、レントゲン検査が必要であり医療機関を受診しましょう。
インフルエンザウイルスによる上気道感染症で、発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感などの全身症状が出現します。
毎年冬場になると流行し、特に大流行をおこします。感染から平均3日程度の潜伏期の後症状が出現します。診断に検査キットも使用しますが、重症化リスクが高い方が陽性患者に接触した場合には予防投与を行う場合もあります。
急性胃腸炎は何らかの原因で腸管粘膜に炎症をおこした状態で、炎症により胃腸症状(嘔気・嘔吐・下痢・腹痛など)をきたします。
原因として薬剤性、アレルギー性などもありますが、感染による感染性腸炎が最多です。感染性腸炎には細菌性・ウイルス性・真菌(カビ)性・寄生虫がありますが大部分はウイルス・細菌によるものです。
多くは症状に対する対症療法のみで自然軽快していきますが、高齢者や免疫力の低下している方、自身で積極的に水分摂取ができない方、症状が強い(血便、高熱、脱水、尿量減少など)、発症までに特定の病歴(生もの摂取歴など)がある場合は、精査をして抗生剤治療や輸液療法が必要となる可能性があります。これらの患者様は重症化の可能性があるため医療機関への受診が必要です。
皮膚にかゆみ、赤み、膨らみを伴って体のあらゆるところに生じる移動性の境界明瞭な皮疹です。線状・点状・地図上など表現型は様々です。数時間から一日程度で消失することが特徴ですが、発症時は痒み・見た目から強い苦痛を感じます。日本人の10人に1人は経験するといわれているほど多い疾患です。
刺激誘発型と特発型があり刺激誘発型は寒冷、圧迫、食物アレルギーなどで原因がはっきりしていますが特発型は原因不明です。蕁麻疹の約70%が原因不明の特発型ですが治療することで症状を軽減することができます。ごくまれに蕁麻疹の背景として他疾患がある場合があり難治性の場合は精査が必要です。
また、蕁麻疹が腸管に出ると腹痛・下痢など消化器症状が出現し、咽頭・舌などの気道に出現した場合は気道閉塞の危険性もあるため早期治療が必要です。
アレルギー性鼻炎はハウスダスト・花粉・動物の毛・カビなどが鼻腔に入った際の異物除去機構が過剰に反応している状態です。3大症状はくしゃみ、鼻汁、鼻閉であり年々増加している疾患です。
発症時期により通年型、季節型があります。一般的に発熱は見られず、水のような鼻汁が出て粘膜がむくむため鼻づまりがあり不快感が強く日常生活への影響が大きな疾患です。
治療としては内服薬、点鼻薬、吸入薬、舌下療法と様々な選択肢があるためお困りの際は医療機関にご相談ください。
扁桃はのどの奥にあり、口や鼻から細菌・ウイルスなどが体内に侵入することを防ぐ場所です。扁桃に強い炎症をおこした状態を扁桃炎といいます。症状としてはのどの痛み、首の痛み・飲み込む際の痛み・発熱・倦怠感などがあります。原因としてはかぜ症候群を引き起こす一般的なウイルスによるものが多いですが、身体診察で細菌性も考えられる際は血液検査、咽頭培養等を行い抗生剤による治療が必要なこともあります。
多くは数日で軽快していきますが長引き、慢性化した場合や合併症が出現した場合はさらなる治療が必要です。
熟眠感がなく、日中の活動に支障をきたしている状態を不眠症と診断します。不眠症を自覚している期間により慢性不眠障害・短期不眠障害・その他の不眠障害に分類されます。また睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群など特定の疾患により引き起こされる不眠症であればその疾患に沿った治療を行います。不眠症の原因は心理的、身体的、不適切な睡眠衛生など様々な原因があり、まずは睡眠衛生指導を行います。睡眠薬は作用の異なる様々な種類があり、不眠症状のタイプ(入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒)、患者背景(年齢・身体精神状態など)を考慮した適切な薬物治療が必要です。
体格の基準としてBMI【体重kg÷(身長m×身長m)】が使用され25以上を肥満症、35以上を高度肥満症と診断します。肥満症は生活習慣病・内臓疾患・関節痛・腰痛など、あらゆる疾患と関係し治療が必要な病気です。食事療法、運動療法が大前提ですが、必要であれば薬物治療を行います。BMI35以上の方、BMI25以上で生活習慣病や肥満による特定の症状がある方は治療が保険適応となります。
病気の発症には遺伝要因(遺伝子によるもの)・外部要因(ウイルス・細菌・外傷等)・生活環境要因(喫煙・飲酒・肥満等)があります。
生活環境要因が主な原因で発症する病気が生活習慣病であり、言い換えると生活習慣を整えることで発症を防ぐことができる病気です。
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病・肺気腫・肥満症・アルコール性肝炎・脂肪肝・痛風などがあげられます。生活習慣病の恐ろしいところは重症化して合併症が発症するまで症状がみられないことです。症状がないからと放置すると徐々に悪化していき、合併している疾患の相乗効果的に動脈硬化を招き、突然に狭心症・心筋梗塞・脳梗塞を発症し致死的となります。また発癌の原因としても重要です。生活習慣病はそれぞれの疾患が他疾患の増悪因子であり、早期に自身の生活習慣病に気づき、治療・重症化予防を行っていくことが健康寿命を延ばすために必要です。生活習慣病は健康診断などの一般的な検査で早期発見が可能です、少しでも不安がある方は早期に医療機関を受診しましょう。
最高血圧140以上、最低血圧90以上が慢性的に続いている状態を高血圧といいます。また高血圧の前段階として最高血圧130-139または最低血圧85-89が続くと正常高値血圧といいます。加齢とともに増加する疾患であり日本では50歳代に2人に1人、60歳代で3人に2人、70歳代になると4人に3人が高血圧症と言われています。高血圧症には本態性高血圧、二次性高血圧があり二次性高血圧は、他の身体疾患から引き起こされる高血圧であり原因疾患の精査、治療が必要です。本態性高血圧は原因がわからないものをいい、遺伝要因・生活環境要因が関与しており生活習慣病の一つで約90%がこれに当たります。やはり高血圧も普段症状がなく、気づかれないですが血管・臓器には常に負担がかかった状態であり放置するとあらゆる臓器障害を引き起こし、突然脳梗塞、脳出血、心筋梗塞等で発症する恐ろしい病気です。早期に診断し、生活習慣の改善により血圧是正を目指し、それでも改善に乏しければ薬物治療が重要です。健康診断などで高血圧を指摘された方は早期に医療機関を受診しましょう。
血液中の脂質にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)などがありこれらが基準値から逸脱することを脂質異常症といいます。LDL:140以上を高LDL血症、HDL:40以下を低HDL血症、トリグリセライド:150以上を高トリグリセライド血症と診断します。前段階としてLDL:120-139で境界型高LDL血症といいます。
LDL値のみでは、日本人成人男性の5人に1人、女性の4人に1人が、脂質異常症といわれています。家族性高コレステロール血症といった遺伝要因、他疾患からの合併によるものもありますが、大部分の脂質異常症は食生活・運動生活・飲酒・喫煙といった生活環境要因から発症しており生活習慣病です。脂質異常症も放置すると動脈硬化が進行し、あらゆる臓器障害を引き起こします。脳梗塞、心筋梗塞、胆石症、脂肪肝、膵炎などの原因疾患となります。健康診断での一般的な血液検査で診断可能です。発症早期の段階で診断し、遺伝性疾患、他疾患からの合併が否定できれば生活習慣の改善により脂質値の是正を目指し、それでも改善しない場合は薬物治療が必要です。指摘された際は早期に医療機関を受診しましょう。
血糖値は膵臓から分泌されるインスリンという血糖値を下げるホルモンにより調整されています。インスリンの分泌が低下、又は効果が低下することで血糖値が乱れる疾患を糖尿病といいます。発症原因により1型糖尿病・2型糖尿病・妊娠糖尿病・その他の4つに分類されます。日本人の糖尿病患者の約90%は2型糖尿病であり生活環境要因が強く関与しており生活習慣病です。遺伝要因もあり、遺伝素因に生活習慣の乱れ(食習慣・運動習慣・飲酒・喫煙・ストレス等)が重なった際に発症します。
2型糖尿病もまた発症初期は症状がみられないことが多く、進行すると眼障害・腎障害・神経障害が引き起こし、失明・透析導入・壊死となることがあります。同時に脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞の発症進展を促進します。
糖尿病患者は日本のみならず世界中で増加しており、早期診断による重症化予防が課題とされています。診断された際は生活習慣の改善、内服薬での治療を行い、必要であればインスリン導入をおこないます。血液検査で診断可能であるため健康診断で高血糖、他の生活習慣病を指摘された際は医療機関を受診し早期診断が必要です。
生活環境要因の乱れが原因の生活習慣病の前段階の状態であり、内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・脂質異常が合併した状態のことです。
腹囲(男85㎝、女90㎝以上)が必須条件で、血圧(130/85以上)・空腹時血糖(110以上)・脂質(トリグリセライド150以上、HDL40未満)の2項目以上当てはまればメタボリックシンドロームと診断されます。
内臓脂肪は身体に炎症を引き起こす物質を分泌しており、生活習慣病を増悪させメタボリックドミノと呼ばれるようにドミノ倒しのようにあらゆる疾患を引き起こしていきます。
自覚がある、または指摘された際は自身の現状を把握し生活習慣の改善、薬物治療を行うことで早期にこのドミノ倒しのような悪循環を断ち切ることが重要です。